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第9章 欲しがりや

 ぐっすり眠り、起きてからまたエッチしてチェックアウトの時間までイチャイチャを楽しみながら部屋を後にした。
和香奈と少し早めのランチを取る。
いっぱいセックスした後はなぜか肉が食べたくなる。
にんにくチップ入りのバーベキューソースのかかった肉を勢い良く口に投げ込んだ。
熱々のソースに絡まった肉が絶妙な味となり、口の中で溶けていく。

 「ウフッ。私、歩が豪快に食べる姿好きよ。
歩みたいなワイルド系好み」

 「美味いうちに食わないとな」

 「そうね」

 何気ない会話の中にあいつの優しさみたいなもんを感じた。
切れ長の奥二重で男臭い顔……コンプレックスだった。
親父は俺が子供の頃は、めちゃ若いパパで、友達からもカッコイイと言われて自慢だった。
それと同時に『あんまりお父さんに似てないよね』
子供同士の悪気なない会話の中に出てくるその一言に段々傷つくようにもなっていった。

 そして星空が生まれてからも、親父そっくりの綺麗な顔立ちをして可愛がられてる姿を見ていると、何だか複雑な気持ちになったり……
決して星空に嫉妬しているわけでもなく、小さな妹を可愛いと思う気持ちに嘘はないはずなのに……
母親が違う兄妹だし、仕方がない事も沢山あるのに……

 時折、どんよりとした雲が心を覆う。

 誰かに自分を認めて欲しくて良い子でいるのは疲れる。

 ありのままの俺で居たいから一人を好んだ。

 でも寂しくなって、自分を曝け出せる場所を探した。

 俺が安心出来る場所を……

 
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