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第20章 ドMの和香奈

「もう日付変わるな。
和香奈、仕事大丈夫か?」

「今日から夜勤だから平気。帰ったら即寝るわ」

「付き合ってくれて有難う」

「どういたしまして。心地良い疲労感込みで楽しかったな〜」

 和香奈はそう言って笑い、車を走らせた。

「さっき買ったコンドーム結局使わなかったな」

「ゴムで隔てられるより、生の方が気持ち良いいもん」

「確かに俺もその方が気持ち良いさ。でもさ避妊をするのは男の義務だと思う。
それを怠るのはお前に失礼だよな。ごめん」

「私は歩の子供は欲しいよ。でも今はその時期じゃないのも分かってるから」

「本当にごめん。寸前で抜いたから大丈夫だと思うけど、俺もそういうとこ改めないとな」

「歩だから、私も安心して身を任せられるんだよ。
歩の事、信じてるから大丈夫よ。
それに万が一の事を考えてピルも飲んでるから」

「うん。それでも和香奈の事をちゃんと考えてあげれないなら、セックスする資格ないだろ?」

「うん」


 俺は卑怯な悪魔の顔を優しい言葉でそっと隠す。
全てが真実でもなければ偽りでもない曖昧な気持ち。
久々に見た夏帆さんが堪らなく可愛い女(ひと)に見えて……そんな気持ちも押し殺していかなければならない。
和香奈の香りを身に纏えば疚しい気持ちも抑制出来ると思った。

 そんな気持ちで彼女を抱く最低な男なんだと自覚しなければならない。
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