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ベストパートナー
第1章 アキ
 そう言われてみれば、アキは煙草喫煙者になっていた。
 出逢い系サイトでの彼女のプロフィールがそれだったことに、今更気づく。


「仕方ないです。それに私はそこまで吸いませんから」


 笑顔を再び見せてくれる。
 本当に可愛いな。


 アキは紅茶を頼む。
 ダージリンの二番煎じらしい。
 俺はよくわからない。


「私もよくわかりません。でも一番安かったから」


 そう言いながら、コップに入った水を一口飲む。
 大きめの氷が、カランとガラスのコップを鳴らす。
 ここでの支払いは、俺が払う。俺が女を誘ったのだから、こう言った場合は男が払うのは当たり前のこと。
 アキはそこに気遣いをしてくれた。
 まあ向こうから誘われた場合でも、支払いは俺だけど……あっ、失礼しました。


「お水、美味しい」


 アキが一息吐いた。
 まだ、臭いがする。軽自動車の中で、一服しながらカフェに来たことが改めてわかった。
 何だか煙草に嫉妬する。
 嫉妬しても意味がないと、理解しながら。


 2

 少しの時間、俺はアキと話をしていた。
 俺の珈琲セットは二杯目で、クッキーはもうない。


「ここクッキー、美味しいですね」


 アキが笑っている。
 俺もコクンと頷いて、変顔で笑顔を見せた。


「変なんて……」


 アキがお世辞を言ってくれる。
 何だか嬉しい。


「……奥様と別れたのですか?」


 いきなりアキが話を振った。
 俺は出来れば触らないでくれと、顔を少し強張らせる。


「ごめんなさい」


 アキが空気を読んだ。いや俺の顔色が、必要以上に歪んだのかもしれない。どこか怯えていた。
 サイトのプロフィールにはバツイチとあったために、それを話題にしたかった様だ。
 これは俺の失態だ。顔が強張るくらいなら、そんなことをプロフィールに載せてはいけなかった。


「ごめんなさい、私は教えて欲しかったんです」


 アキが口にした。
 



 
 
 
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