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恥ずかしい真昼の車内
第3章 転
ちづるも、その声を聞いたようだ。

彼女は、やや開いていた両腿をきつく閉じ、目を大きく見開いた。

「ちょっと。やばい。待って」

さっきとは打って変わって、囁き声で呟く。

身体を私から引き離し、めくれ上がっていたブラを乳房に被せる。

外に目をやると、4、5人程度の小学生の一群が、こちらにやってくる。

どうやら下校の時間らしい。

彼らは、大声で笑いながら、痴態中の車に近づいてくる。

もちろん、車内でそんなことが行われているとは露ほども思っていないだろう。

私達に、気づいている様子もない。

先ほどまで息を切らせていたちづるは、喉をゴクリとさせ、じっと聞き耳を立てながら、集団を凝視している。

素に戻ってしまったようだ。

駐車場に停めてある車は、私たちだけで、なぜか子どもたちは向かってくる。

人間あるいは子どもの好奇心の習性だろうか?

車内は、暖房をつけていたので、あんな行為の後では暑かった。

「窓あけるよ」

と言って、ウインドーのスイッチを押そうとした。

すごい勢いで、彼女が身体を乗り出し、私の手を押さえて

「だめ。だめ。だめ」

と必死の形相で阻止してきた。

「え!なんで?」

涼しい顔で聞き返す。

目を見開いたちづるは、すぐ睨んできた。

それを平然と無視して、私は言い放った。

「暑いでしょ。暖房消して、ちょっと冷たい風入れようよ」

間近に迫る小学生らを横目で見ながら、ボタンを再び押そうとした。

「何やってるの?そんなのダメ」

「何で?子どもたちに見られて恥ずかしいことは、もうしてないし。何がダメなの?」

執拗に理由を聞く。

すでに、集団の先頭は車の横まで来ていた。

最後尾に、少し離れて歩く女の子がいる。

小学生5、6年生だろう。

私は、ボタンに指をかけたまま、その子が横にくるタイミングを見計らう。

「わかってるくせに」

断固としてボタンから指を離さず、さらに理由を聞くものだから、先ほどの睨み顔が消え、彼女は泣きそうな顔だ。

「お願いだから、開けないで。ほんとに開けちゃいや」

もう哀願口調だ。

流石に、やり過ぎると、この後が続かなくなるので、ボタンから手を離した。

車内には、ちづるのツンとした芳香が充満している。

もし、集団が通るタイミングで窓を開けていたら、小学生に嗅がれていたに違いない。

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