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咲の旅物語
第15章 チガヤの呪い
「洞窟の中に入ったまでは、覚えているのですが…」

「記憶がないのか…」

苦い顔をして、瞳をさ迷わせるジャルムをディラは難しい顔をして見すえた。

「ええ、そこからどうしていたのか、今朝泉の畔までどうやって行ったのか…全く」

「ララベさんの中に居たんじゃないの?」

全員がうーんと考えこんでいると、横から幼い声が聞こえた。

はっとして、声のした方をみると膝にヒジをついて、頬杖をするティナが此方を見上げている。

全員が自分を見たことに気付いたティナはニッコリ笑って

「ララベさんはジャルムさんの事が分かったんだよ。」

と胸をはる。

「…!あり得るわ…」

ヘラが目から鱗だと、声をあげた。

「ここから離れないのは騎士団長の為。
なら、愛する人が来れば、溶かさずに保護する筈だわ。」

「でもよ、なぜ今頃になって解放を?」

ダイゴがよく分からないと首を傾げる。

咲は、ゆっくりと立ち上がると洞窟を見据える。

「本人に聞こう。」

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