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第18章 噂の屋台

なのに、咲の方を見るとグニャリと変化する。
一見気づかれないようにしているが、女の感と言うか咲には分かった。

「この美しい女性は、君のお嬢さんかな？」

先ほどより低い声でジャックに囁く。

「いえ、こちらはヤオマの代表です。」

ジャックも変化に気付いたのか、僅かに警戒の気配を出す。

「なんと！貴女が代表ですか？こんなに若くて美しい女性がとは！」


王子は大袈裟に驚いたあと、咲の手を取った。
そして、手の甲に口づけを落とす。

「是非、後程のダンスを御一緒願いたい。」

パーティーでは、中盤になるとダンスが行われる。
王子は直々に咲を誘いにきたのだ。
直々となると断れない。


「…はい、」

渋々咲は頷いた。

「じゃ、後程…。」

王子は満足げな表情を浮かべ、軽やかに去っていった。


王子が居なくなったあと、ヤオマ面々は大きくため息をついた。


「初めからそれが目的か…。」


タイチの低い声が面々の表情を暗くする。