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咲の旅物語
第15章 チガヤの呪い
「ダイゴ、ジャルムさんをお願い。」

「おう。」

咲は、ダイゴにジャルムを託すと結界から出た。

その途端、黒い影が一斉に咲に襲いかかってくる。

しかし、咲の手前で止まる。

咲は結界を張っている訳ではない。
代わりに神力を解放していた。

6対の翼が花が開くように広がり、金にも銀にも見える粒子を纏っている。

「ララベさん、ジャルムさん。辛いかもだけど我慢してね…」

そう言うと、ララベに近づき手を差し出す。

恐怖を感じたのか、なにかわからない無数の手をバタバタと動かし、ララベは抵抗を見せる。

『を゛っを゛っ』

びちゃびちゃと体液を撒き散らしながら、身を捩るララベの一つの頭を掴んだ。

ビキビキビキ!!

『をををををををを!!!!』

神力で包みながら、その頭を引き剥がす。

ララベは苦痛で酷い叫びをあげて、激しく暴れた。

びちゃっ

更に次の頭を引き剥がす。

そうして、剥がした頭は実に28体になっていた。

ほとんど原型を止めていないララベの身体は、骨や内蔵も剥き出しの惨たらしい状態だった。

「なんて事を…」

ジャルムが怒りと憎しみに震えながら呟く。

咲は一目ジャルムを見ると、ニコッと微笑み両手を広げた。

28体の残骸は既に全て虫の息である。

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