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咲の旅物語
第16章 王都 ルアール
彼は今まで、孤児院のようなところで生活していたらしい。
捨てられた子供や親を無くした子供などが集まっていた。

この孤児院が近年、一部の貴族の目に止まり潰された。
そして、そこにいた子供達は王都から北に行った所にある発掘場で働かされている。

孤児院の経営者は、穏健派の貴族だったが家が潰され彼らもまたそこに収容されている。

少年は監視の目を抜け、王都で彼らを助けてくれる者を探していたのだ。

ギルドに依頼しようにもお金がいる。
だが、彼は自身の食事代もない。

そこで、たまたま通りかかったカジノで咲の事を聞いたようだ。

咲たちは目立つ。

なので、直ぐに見つけることが出来たらしい。

「なるほどね…。」

「そこの鉱山では、オリハルコンが見つかった事があるらしいのです。でも…僕たちが何日も掘っても全く出てこなくて…だんだん、掘る為じゃなく鞭や棒で殴ったりする為に集めたんじゃないかってぐらいになってきて…」

少年も最後はその時の様子を思い出したのか、泣き出した。

「ふむ…」

咲は少年の頭に手をポンっと置いて唸った。

「ねぇ、ディラ。この辺に孤児院造っちゃおっか?」

「へ?」

「少年。仲間の皆、わたしが助けてあげるよ。」

ニッコリと少年に目をあわす。
「おっさん達もいるし。」

自分の作ったゴーレム達を指して少年にさらに微笑みかけた。

少年は後に女神が降臨したとこの時の事を語っている。

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