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咲の旅物語
第16章 王都 ルアール
それは、全ての水分が吸いとられたように皮膚が干からびたガリガリの《人》だった。

長い髪が全身を覆い、その隙間からギョロリとした目が咲を見ている。

咲を警戒している様に怠慢な動きでベッドの隅に逃げる。

ヂャラ

その人が動くたび、咲の耳には金属音が響く。
薄暗い部屋のなかを目を凝らして見てみると四肢が鎖に繋がれているようだ。

「う゛う゛…」

口をパクパクしているが、声が出ないようでシワシワの顔を苦痛に歪めている。

咲は怖いながらも不可視の魔法をとき、近づいていった。

「大丈夫。助けに来たのよ」

優しくそう言う。
いきなり姿を現した咲に一瞬驚いたようだが、ある一定の距離を保つ咲にホッとしたように肩を落とした。

「あ゛あ゛…」

「喋れないの!?」

声が上手く出ないのか、一生懸命何かを訴えるソレの様子に咲は一先ず回復の魔法をかけてみる。

光に包まれたソレが再び姿を現した時、ガリガリだが整った顔の紳士が姿を現した。

「おお!ありがとうございます。」

体の様子に驚きはしたものの直ぐに鎖をヂャラヂャラ言わせながら、恭しく礼をする。

「あの…貴方はもしや…?」

咲は頭を下げる紳士に尋ねる。

「はい。ジャックと申します。町外れの屋敷で子供たちと生活していたのですが…」

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