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結婚式前夜
第1章 麗子さんとぼく
ぼくは裸にされた。
麗子さんの寝室、キングサイズのベッドの上だ。
麗子さんは、自分で服を脱いだ。
彼女の大柄で豊満な肉体がぼくの目の前に迫ってきた。
もう時刻は夜の9時を回っている。
明日は、ぼくと麗子さんと結婚披露宴だ。
なのに、麗子さんは、まだぼくを解放してくれなかった。
彼女は、ぼくを四つん這いの格好にさせた。
そして、ぼくの後ろに回る。
お尻の中央に彼女の吐息がかかった。
「ほら、もっとお尻を上げてっ!」
彼女が、いらついたように言うと、ぼくの背中を乱暴に押し、上半身をベッドに押し付けた。
顔が柔らかいベッドに横向きに埋まる。
手はバンザイの形になって、頭の前に投げ出された。
自然とお尻が身体の中で一番高くなり、彼女の前に付き出す格好になる。
男のぼくにとっては、屈辱の形だ。
麗子さんが覆いかぶさってきた。
乳房が、ぼくの背中に触れるのがわかった。
彼女のストレートで長い髪がさわさわと背中の皮膚に当たる。
背中に舌が押し当てられたのがわかった。
背中がぴくっと動いてしまう。
舌が、ぼくの背中の中心をなぞり、ゆっくりと、お尻の方に滑ってくる。
ひとりでに身体が、びくっ、びくっと、跳ねる。
「はうっ……」
くすぐったさに、溜まらずうめき声を上げた。
「ふふっ……」
微かに鼻で笑うのが聞こえた。
舌が尾てい骨まできた。
麗子さんはそこを、円を描くように舐め出した。

麗子さんは、明日、30歳になる。
彼女の誕生日に披露宴を挙げるのだ。
盛大な披露宴になる予定だ。
出席者は500人は下らないだろう。
ぼくは20歳になったばかりだ。
まだ大学生だ。
麗子さんは、ぼくのママが決めた“恋人”だった。
ママから紹介され、付き合い始めて半年が経った。
ママは、比較的大きな不動産会社を経営している。
麗子さんは、ママの取引銀行の頭取の孫だった。
ママの言うことに、口出しは許されない。
全ては、ママの世界観の中で、生活してきた。
パパも同じだ。
パパは婿養子で、今、ママの会社の副社長をしている。
ママには、事業拡大が全てに優先する。
それはぼくの結婚についても同じだ。
ぼくは、いままでお金や生活に苦労したことは一度もない。
それはママの言うことを聞いてきたからだ、と思う。
だから、これからもママに従がわなければなならない。
ぼくは、今さらひとりでなんて生きていけないから。
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