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第29章 choice A 遭遇 side 悠

無意識だろう、頬を赤らめてうつむく文…昔は俺に向けてくれてたその表情。

彼女の気持ちの変化が見てとれる。
あー、心臓、痛いわ。

いつか隣に文がいないことに慣れる日はくるんだろうか。

今はそんな日が想像も出来なくて、日々の生活に大きな変化はないのに、そこに彼女がいないだけで、ポッかりと穴が空いたようで、どうしようもなく君が好きだと思い知らされる。

終わりを理解しながらも、会うと想いは止まらなくて、その華奢な身体を強引に腕の中に閉じ込めた。

だけど、

「文さん!」

後ろから聞こえた声の主は、迷いなく彼女の腕を取り、そして俺から奪っていく。

「大丈夫？…彼女に何か用ですか？」

酔っぱらいに絡まれてるとでも思ったのか、文を守るように間に入った男───あぁ、こいつか。