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大人遊び
第30章 choice A 恋慕
悠くんがその場を立ち去ると、堪えていた涙がポロポロとこぼれてきた。

泣きながら戻るわけにも行かず、しばらく外のベンチで休んだ後、啓介さんの待つ席へと戻る。

「遅くなって、ごめんなさい。」

お猪口を片手に一人で待っていた啓介さんに声を掛けると優しく微笑んでくれた。

「いいよ。目真っ赤…大丈夫?」

コクンと頷くと啓介さんは私の手首を優しく掴んで引き寄せて、自身の隣へと座らせた。

「あんな偶然あるんだね…てか、元カレ、カッコいいのな。さっきはあの人の手前かっこつけたけど、戻ってきてくれるか、めっちゃ不安だったわ。」

抱き締めながら彼が呟く。

「ねぇ、文さん、俺、少しは期待してもいいよね?」

真っ直ぐな目、真っ直ぐな彼の気持ち、私の答えも決まっていた。

「…うん。好き、私…好きなんだと思う。啓介さんの事。」

そう言って彼のシャツの裾をギュッと握る。恥ずかしくて、今彼がどんな表情をしているのか見ることも出来ない。

「…ヤバい…めっちゃ嬉しいんだけど。俺も、俺も好きだよ。文…彼女になってよ。」
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