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大人遊び
第16章 choice A 君の想い -純心ー
「文さん、おいで。」

彼に手招かれ、窓際へと歩を進める。
そこから眼下を見下ろすと、赤、黄色に染まった木々が一面に広がり、鮮やかなグラデーションを生み出していた。

「わぁぁーーーーー!綺麗!!!下から見るのとまた全然違う。なんか紅葉の絨毯みたい。乗ってみて良かったね♪」

「詩人かよ(笑)」

「もぉ!せっかく人が感動してるのにぶち壊し。」

「なんかいちいち可愛くて。・・・そんなに喜んで貰えるなら連れて来て良かったよ。」

子供をあやすように私の頭をポンポンと撫でる彼。

「そうやって、すぐからかうんだから!!」

あれやこれや言い合っているうちに到着した山頂は広大な草原が広がっていて、遊歩道を経由して更に上にある箱根神社の奥宮「箱根元宮」や展望スポットへと続く。

「上は、やっぱり少し冷えるねー。」

「手出して?」

彼がイタズラっぽく笑う。

「・・・?」

そっと手を出すと、あったかいミルクティがその上に置かれた。

「下で文さんがトイレ行ってる時、買った。ポケットに入れといたんだけど、ちょっと冷めちゃったね。」

「ありがとう///。あっ、お金・・・。」

「それくらい、素直に受取ってよ。俺がやりたくてやってるんだから。」

優しい顔でそんな事をいう彼に、胸がギュッと締めつけられるような感覚を覚えた。

芦ノ湖のバックには海、そして、遠くに見える富士山、素敵な景色と冷たく澄んだ空気の中、手に握りしめたミルクティから彼の温かさを感じていた。

怒ったり、笑ったり、喜んだり、啓介さんと過ごす時間はあっという間に過ぎて行った。
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