この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
わがままな氷上の貴公子
第12章  開宴


 子供の頃から、千絵がいるのが当たり前。
 シーズンに入れば会うことも少なくなるが、どこかで千絵のことは考えたりもしていた。
 17歳なんて、これからなのに。
 オリンピック出場まで、手に入れたのに……。
「前に、悩んでたでしょ? コーチの、ことで……」
「ああ……」
 オレにしがみついて泣くほど、悩んでいたのを思い出す。
「合わないなら、別のヤツに替えればいいだろ。オリンピック中はガマンして、終わったらすぐ」
「違うの……」
 千絵は黙ってしまった。
 スケートが嫌になったとは思えない。
 心中を察するほど、千絵の気持ちも分からないし。
「結婚、するの……」
「はあ?」
 以外な言葉に、何も言えなくなってしまった。
 “結婚”て言ったよな……?
「コーチと……」
「ああ? 佐々木ってヤツか?」
「うん……」
 ペア競技で、恋人同士や夫婦も少なくはない。
 専属コーチとデキるのも、過去にあった……。
「あの時悩んでたのは、それなの……。あの時点で、辞退しようかどうか……」
 何も言ってやれない……。
 つーか、心配したオレが馬鹿だった……。
「でも……。結婚しても、続ければ、いいんじゃないのか……?」
「私の夢は、『お嫁さん』、だったから。家庭に入って、子供を育てて。それが、夢だったから……」
 夢……。
 オレの夢は『おうじさま』。
 意味ははっきりしないが、そんな風に呼ばれるような存在。
「いいんじゃないのか……。お前が、そうしたいなら。悔いが、ないなら……」
「うん!」
 今までで、一番明るい笑顔だと感じた。
「でも……。わざわざ呼び出して言わなくてもいいだろ? みんなの前で言えばっ」
「だって……。悠斗に、一番に聞いて欲しかったから。仲間として」
 仲間。
 学校の友達や、親友の塔子とも違う。
 オレ達の間には、特別な絆がある……。
「ちゃんと聞いたから。下行くぞ」
 照れ隠しだと、自分でも分かっている。多分千絵も、分かってくれているだろう。
 リビングで千絵が話すと、みんな呆然としていた。
 それはそうだろうな……。
 オリンピックの順位に関係なく、引退を決めてるなんて……。


/141ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ