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〜 夏の華 ショートストーリー集〜
第11章 海賊と昼食を
月城の船はちょうど港に着いていた。
甲板の上に彼はいた。
その逞しいブロンズ色の腕が器用にビットにロープをかけ、下船の準備をしている。
…潮風に靡く長い髪は漆黒色で、無造作に束られている。
春の光に照らされた横貌は、まるでギリシア彫刻のように端正で野性味すら帯びていた。
洗い晒しの白いシャツに黒いワークパンツ、黒いワークブーツ…。
執事時代の一部の隙もない禁欲的な黒い正装姿とは真逆の姿だが、月城が身に纏うとやや野蛮な色香すら漂うのだ。

…月城…かっこいい…!
月城の姿を見るたびに暁は未だに小娘のように胸がきゅんと疼くのだ。

「…つきし…ろ…」 
喜び勇んで駆け寄ろうとして、暁は脚を止めた。

漁港には不似合いな上質の白いレースのワンピースを着た若い娘が、船着場に向かい足早に歩いてゆくのが見えたのだ。

「シン!こんにちは!」
若い娘は無邪気に手を振りながら、月城の前に近づく。
金色の髪がふわふわと風に靡く。

「…こんにちは。
マドモアゼル・リーズル」
月城は一瞬驚いたように眼を見張ったが、すぐに柔かな笑みを浮かべた。

…マドモアゼル・リーズル…?
どこかで聞いた名前だ…。
ああ…。
以前、父親の車が故障したのを月城が修理してやったという…その娘か…。

「今、漁が終わったの?
お魚、たくさん獲れた?」
マドモアゼル・リーズルと呼ばれた若い娘はその青い瞳をきらきらと輝かせながら月城を見上げる。

…魚は…どうでもいいみたいだな…。
暁は漁港の塀に隠れながら、二人の動向を見守る。

「ええ。今日はイサキとスズキと舌平目。
それからロブスターも網にかかりましたよ」
「ロブスター?大好き!
…ねえ、シン。
今夜、お暇?
良かったら街のダンスホールに一緒に行っていただけないかしら?
リセのダンスパーティーの練習がしたいのよ」

…ダンスだって⁈

暁は思わず塀から飛び出しそうになった。





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