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SS作品集
第4章 コンピューター
住まいに着くと、家族が揃って出迎えてくれました。それは毎日の習慣で、家族円満の証拠だと言われています。
外で働く者を気遣えるのは、いいことだと聞きました。
養子達はいつか1人暮らしをするので、それまでの楽しみでもありますが。
妻も仕事を持っていますが、養子が来てからは、会社とのオンラインCSを使って会議などにもきちんと出席しています。
『夕食のお時間です』
腕のCSがそう告げられると、大型の調理用CSからそれぞれの年齢や運動量に合った食事が出てくるので、それを家族みんなで同じテーブルで食べます。
『入浴のお時間です』
『自由時間です』
『就寝のお時間です』
そうやって全てCSが管理してくれるので、肥満や栄養不足、睡眠不足といったこともありません。
朝も勿論、CSが起こしてくれます。
僕も妻も養子達も同じですね。
えっ? なぜ養子なのか?
養子を取るのは普通のことですよ。
複数の会社がCSを使って生命を産み出しているので、その一社から僕達は赤ん坊を買い受けました。
どの赤ん坊が僕達夫婦に向いているかも、CSが決めてくれるので安心ですね。結婚相手もCSが決めてくれます。だから、煩わしいことは何もありません。
休日には、家族でレジャーに出かけたりもしますよ。
その日の天気や気温、家族構成にふさわしい場所をCSが提案してくれます。そのお蔭で、楽しい1日が過ごせますからね。
僕は古典小説が好きで、自由時間に昔の恋愛物とやらもたまに読みます。
恋人という制度は理解出来ましたが、結婚に至るまでの方法については全く共感出来ません。
外や室内でデートというものをしたり、男性が女性に気に入られるために高価なプレゼントを送ったり。結婚するために、プロポーズというのもあったそうですね。
そんな煩わしい時代に産まれなくて良かったと思っています。
余談も入りましたが、これが私の昨日の午後からの生活ですが……。