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SS作品集
第10章  黒い時計


 これは課長に怒られるより、少しだけダーメジが大きい。
 そして今回の骨折。
 鉄道会社のお偉いさんが謝りに来て慰謝料を貰い、治療費は全て払うと言っていたが、ニュースにもなっている。
 電車がそのまま走り続けていたら、命だって危なかったかもしれない。
 田舎から世話をしに出てきてくれた母親に、鞄の中の黒い時計とスケジュール帳を持ってきてもらった。
 スケジュール帳にメモした時間に足が折れたのは、紛れもない事実。
 この黒い時計は、やはり僕の未来を予測しているのだろうか?
 それも、災難に遭うことばかりを。
 時計は20:03で止まっていた。
 今度は何が起こるのだろう。
 数日間20:03なるとベッドでじっとしていたが、何も起こらない。
 時計には日にちを示すものがついていないのだ。明日かもしれないし、1年後かもしれない。
 あの時計を手放せば、災難から逃れられるのだろうか。
 だが、次の時刻だけはもう決まっている。
 誰か、あの黒い時計をもらってくれませんか?
 最初の方は単純な災難だけで済みますから。


 了



 その時計を試してみる勇気、ありますか……?


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