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SS作品集
第11章 ゲキカラ
僕はからい食べ物が好きだ。
外食をする時だって、必ず、置いてあるからい調味料を入れる。
それも友達と一緒の時は驚かれるくらい。
例えばラーメン屋なら、胡椒のフタを開けて、麺が見えなくなるくらい振りかける。
フタを開けると言っても、みんなが普通に開けるフタじゃない。中のキャップごと外して振りかけるんだ。
たまに置いてある量が少なかったりすると、店員に頼んで、別のも持って来てもらう。
ラーメンの種類によって、それにラー油を足したりもする。
よく店に置いてある七味唐辛子。あれは頂けない。全くからみが無くて、いくら入れてもからくならないから。
だから僕は、一味唐辛子を持ち歩いている。
一味唐辛子なら何にでも合いやすいし、小さな瓶だから邪魔にもならない。
そう言っても僕はからみを感じないわけじゃなくて、からくて頭の毛穴からも汗が出るくらいが好きなんだ。
からい物はちゃんとからいと感じるから、からい物が好き。そうじゃなければ、からくする意味は無いだろう。
だから僕には、世間一般で売られているゲキカラと謳っているものでも、普通に食べてしまう。
よくあるゲキカラカレーライスなんて、行かれる限りの店は制覇してしまった。
ピザなんか食べると、すぐにタバスコを一瓶使ってしまう。
だから、それより安く買える一味唐辛子が一番重宝なんだ。
僕はまだ大学生だから、タバスコをまとめ買いするほどお金が無い。だから、一味唐辛子の業務用大袋を買っている。
それなら一袋500円程度で済む。それでも、食費そのものより調味料の方にお金がかかっているけど。
そんな僕に彼女が出来た。
大学でも、可愛いと言われている彼女。
彼女はそんなこと鼻にかけていなくて、明るくて性格もいい。
学食でよく一緒に昼食を食べるから、僕のからい物好きにも驚きながら納得してくれている。
バイト代が入った時、彼女が行きたい店に食事へ行くことにした。