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SS作品集
第12章 カレンダー
僕の部屋のカレンダーは、大きくて1ヶ月ずつのもの。
だから1ヶ月に一度、必然的に終わった月を捲り取ることになる。
1月は、いくつかに切って、裏をメモ用紙にした。
丁度メモ用紙を切らしていたので、まあまあ重宝してくれたが、人に渡せるものでは無い。節約主義者ならいいだろうが、僕は実家住まいの大学2年。
2月も同じ。うろ覚えの漢字を一度書いてみたり、出が悪いボールペンの試し書きなど。部屋の中だけでそんな風に使っていた。
カレンダーの裏も結構使えるものだ。あまり人には言えないが。
その後100円均一の店でメモ帳をかったので、もうカレンダーの裏は必要ない。
3月も終わりに差し掛かり、僕はどうしようかと考えた。
丸めて捨てると大きくて、それだけでゴミ箱がいっぱいになってしまう。
その頃丁度姪っ子が家に来たので、落書きの紙に使わせた。
子供用のスケッチブックより大きくて、喜んでくれたのが何よりだ。それに、上手く描けたからと言って、畳んで持って帰ってくれたから、ゴミにもならずに一石二鳥。
さて、4月の終わり。たまたま休講になった日、僕はカレンダーをいくつかの正方形に切り、子供の頃を思い出しながら、兜や鶴を折ってみた。
兜は上手く作れたが、鶴は何となく不格好。手先の器用さには自信があったのに、長く作らない間に不器用になっていたなんて。
僕はショックとプライドもあって、翌日の大学帰りに本屋へ寄った。
買ったのは、折り紙の本。初級、中級、上級の三冊。子供向けの本なので、そんなに高価ではない。
残った紙で、本を見ながらいくつか折った。初級とはいえ、僕の目的は綺麗に折ること。それも上手くいき、僕の器用さが失われていなかったと安心するくらい、いい出来上がりだった。
5月の終わりを待てずに、僕は折り紙を買い込んだ。大学もあるから、そんなことばかりに没頭してもいられない。ヒマを見つけて折り、初級の本全てを綺麗に折ってクリアした。