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SS作品集
第14章  アイドル



 私は今日も、仲間達とライトが眩しいステージに立つ。
 フリルやレースの付いた丈の短い衣装で、それぞれの振り付け通りに笑顔で踊り始める。
 今はまだ「地下アイドル」と言われる存在でも、その中ではダントツの人気。チケットはいつも完売。転売禁止になる前は、ネットオークションで10倍もの値が付くほど。他のグループはチケットが半分も売れなくて、楽屋で泣いているコもいたのに。
 定期的に行う握手会は長蛇の列。正直、メンバー達の方も疲れてしまうが、精神的には癒されて笑顔を絶やさない。
 ファンがわざわざ足を運んでくれることは、凄く励みになる。
 ウチのグループのメンバーは12人で、最年少は16歳。そうしているのはわざとで、22:00直前まで仕事としてステージや握手会が出来るから。
 他のグループには大抵中学生以下のメンバーがいて、可愛らしさを前面に出している。でもそんなグループが活動出来るのは18:00まで。
 テレビなら収録だが、ライブは正に生出演。
 以前は何組かと合同でライブをしていたが、今はウチのグループで単独ライブのみ。
 そうやって人気が出ると、オーディションにも多くの応募者が集まる。よりいい条件のメンバーを獲得出来れば、また人気が上がっていく。そのお蔭もあって、今の地位にいる。
 かといって周りに偉そうにすることはなくても、それまで無視されていた先輩のグループまでが挨拶をしてくれるようになった。
 チームミーティングでは、何事にも奢らず自分達の道を行こうと誓い合う。
 後ろの列だけど、私なりに精一杯頑張っているから、それについて不満は無い。
 今日のレッスン前にプロデューサーに突然告げられたのは、半年後にメジャーデビューが決まったこと。夢だったゴールデンの歌番組にも、デビュー曲での出演が決まっているそうだ。


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