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SS作品集
第15章  早く見つけて


 1週間が経ち、僕は死んだ。
 僕は霊となって、部屋の隅に立っている。
 1日中ずっと立っていても、疲れや眠さは全く感じない。
 僕が死んだのは5日前。夜中に金縛りに遭い、霊に首を絞められた。
 相手が霊のせいで、僕の首に何の後も残らない。
 結局突然死で片付けられてしまった。
 僕を殺したのは、ここのボス霊。
 霊になった今だから解るが、クローゼットの天井裏に、もう白骨化してしまった女性の遺体がある。
 彼女は新築のこの部屋に住んでいたが、恋人ともめて殺されてしまった。そして男はクローゼットの天井を一度剥がし、遺体を隠してから綺麗に天井を直した。
 男の職業は、大工だったのだ。
 そのせいで、遺体が見つからないまま5年が経っている。
 その後に入居して来たのが、ベッド下にいる女性。次は玄関前に現れる女性。その後が僕。
 みんな、天井裏のボス霊に殺されたのだ。
 ボス霊からすれば、警察の捜査や能力の強い霊媒師が入り早く自分の遺体を見つけて欲しい一心。
 だが今回も空しく、天井裏は捜索されなかった。家主は、霊媒師も呼ばない。
 ボス霊は発見されれば成仏出来るのかもしれないが、僕は地縛霊として、この場所から動けないまま。ベッド下の女性も、ドアの前の女性も同じ。
 それとも、ボス霊が成仏すれば、一緒に成仏出来るのか。
 僕には分からない。
 あなたが借りたそのマンション、大丈夫ですか?
 たまに、“事故物件”だという事を隠して募集する所もありますから。
 それに“事故物件”は次に誰かが借りれば、告知義務もなくなる。そのために不動産屋の社員が名義上だけ借りて住まず、数ヶ月で解約することもあるらしいですよ。
 気を付けてくださいね。


 了


 あなたの部屋は大丈夫ですか?
 お気を付けください……。


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