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SS作品集
第16章 地球滅亡
くだらない話だ。
地球滅亡の日が分かったと、世間が騒いでいる。
何とかという巨大惑星が、地球に衝突すると。それも、持ってあと一年。早ければ数ヶ月後だそうだ。
ネットで噂が広まり、報道番組でも取り上げている。
全く持ってくだらない。
スーパーやコンビニでは、水や食料品が売れていく。シェルターも多く売れ、そこに備蓄しているそうだ。
滅亡が近いとなれば、銀行やローン会社などは貸し渋りを始める。
株も売り注文が殺到しているそうだ。
世界の経済は滅茶苦茶。
シェルターを買うほど貯金の無い者は、今のうちに金を使ってしまおうと遊び回る。
豪華な食事をしたり、高いブランド品を買ったりして。高級車を乗り回す者も、多くなったようだ。
比較的安全だと噂の国へ移住する者もいた。その国では、移住者の制限をかけ始めている。
その噂だって、当てにならない。
地球滅亡と言われているなら、どこへ逃げても無駄だろう。
こういった噂は今まで何度も流れたが、ただの予言のようなものでしかなかった。でも今回は、何とかという巨大惑星が確実に地球へ向かっているらしい。
天文学者などもテレビに出て、あれこれと解説していた。
そう言った輩(やから)は、やたらと自分の知識をひけらかしたがる。どれだけ頭がいいかの、自慢のようでならない。
テレビを観るのが趣味の私は、もううんざり。
出来る限りそんなニュースをやっていないチャンネルに合わせるが、コーナーが変わればまた地球滅亡の話題。
地球だって、46億年経っている。そろそろ、地球自体にガタが来てもおかしくないだろう。
室内にいても、外は騒がしい。
ここぞとばかりに、やりたい事をする者が増えている。中には、どうせならと殺人を起こす者もいるそうだ。
警察にも、やる気が見受けられない。
地球防衛軍などは、まだ遠い未来の絵空事。