- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
SS作品集
第20章 スポーツ
仕事が終わると、私は集まりへと向かった。
今日の集合場所は、広いグラウンド。
全面が人口芝で覆われ、両角には大きな四角い物が置いてある。
それは前面と下が空いていて、四方にはネットが張られていた。
仲間内で作った、スポーツクラブ。
それは千年以上前のスポーツを研究し、実際にやってみるという集まり。
今日は、サッカーと言うもの。
事前に配られた手作りのルールブックで予習はしてある。それに私は、テレビゲームで何度かサッカーをやったことがある。
だから、自信を持って参加した。
今日集まったのは十五人。
人数は足りないが、審判一人と、七人ずつでチームを作った。
取り敢えずは真似事でいい。メンバーは他にもいるから、楽しかったと伝えれば次には来るだろう。
一人が端からボールを蹴り入れ、サッカーが始まる。
ボールを取ったり取られたり。
全員初めてのせいで、勉強したルールを思い出しながらの実践。
審判も同じ。
縮小したルールブックを持ち、時折読みながら試合を見守っている。
それでも仕方ない。
私だって、審判になったら焦ってしまうだろう。
こんなに速い動きの中じゃ、審判が一番大変かもしれない。
三十分だけで試合を終えたが、結局得点は入らなかった。
それでもみんな満足。
今更歴史の勉強をするのは難しいが、スポーツとなれば取っ付きやすい。
シャワーを浴びてから着替え、みんなで飲食店へ行くことにした。
さっきのサッカーは、みんなも楽しかったと話している。
今度はルール通りの人数を集めて、またやろうと話し合った。
私達はこれまで、野球やテニスなどに挑戦している。どれも疲れるが、終わった後の爽快感を味わっていた。
現代の人間は、集まってスポーツをする機会がない。
スポーツの研究と銘打った、ストレス解消のようなものだ。
数日後、仲間の一人から千年前の野球の映像が手に入ったと連絡があった。
知り合いを介して、何とか貸してもらえたそうだ。
その日に集まれる十人ほどが、彼の部屋で映像を観る。