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SS作品集
第20章  スポーツ


「何だ、これは……」
 一人が呟いたが、私も他も黙ったまま。
 映像の中の野球選手達は、私達の何倍もの速さで動いている。
 凄い勢いで球を投げ、それをまた、凄い勢いでバッターが打ち返す。
 ボールは遥かへ飛び、観客のいる席へと落ちて行った。
「これが……。本当の、スポーツなのか……?」
「再生速度が違わないか?」
「こんな動き、人間には無理だよ」
 それぞれが口を開く。


 本物の映像を観て以来、私達は集まるのを辞めてしまった。
 私がやっていたテレビゲームのサッカーは、EXスポーツというもの。
 脳で思った通りに、画面の中の選手達が動いてくれる。それも、凄くゆっくりと。
 ボールはフワリと飛び、選手達もゆっくりと動く。
 千年前の人間は、あの映像のように速く動けていたなんて。今でも信じられない。
 私は仕事を終え、みんなと同じように歩行ロボットに乗って帰宅した。


 了


 今の皆みなさんは、凄いんです……。


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