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SS作品集
第25章 オーガストフール
「忘れちゃったの? 私達全員、春の遠足の時死んだんだよ。バスがガケから落ちて……」
亜利沙の記憶が蘇ってくる。
新しいクラスの交流目的の、春の遠足。ピクニックの予定だったが、その行きのバスがガケから転落して……。
それ以降は記憶が無い。
「私達にとっては、オーガスト・フール。8月には、家に帰れるでしょ。お盆だから」
その風習は亜利沙も知っている。
そう言えば今日、自分はどこから来たんだろう。亜利沙はハッキリとは覚えていない。
「いつかから、誰かがそう呼ぶようになったんだって。エイプリル・フールにかけて」
言った優奈が、「あ……」っと残して消えていく。
「オーガスト・フール……」
呟いてから、亜利沙も消えて行った。
了
夏なので……。