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第27章 　マリッジブルー

　同僚達は暇さえあれば毎日毎日、女性が結婚すると不利な点を教えてくれる。
　もしも浮気されて離婚になれば、再就職は難しい。ましてや子供を抱えてなど、働くことさえ困難になると。
　不安になった愛花は決心して、そのことを彼に正直に彼に話した。彼は絶対に浮気などしないと言い、もし仕事を続けたいなら、子供を預けて働けばいいと優しく言ってくれる。
「最初は上手いことばかり言うのよ、男は」
「そうよぉ、結婚前に、浮気するかも、なんて言うわけないじゃないのー」
「働きながら家事をするって、大変じゃない？　それが原因で離婚したりね」
　同僚達にそう言われると、愛花は益々不安になってしまう。
　何度も彼と話し合いをするが、彼はいつも優しい言葉を掛けてくれる。マリッジブルーについての本を読んだり、ネットで調べたり。愛花は不安なことを全て正直に言い、彼と何度も話し合ったりもしてみた。



　6月が過ぎた今、愛花はまだ会社に勤めている。
　結婚自体をやめたのだ。
「愛花ちゃん、今日も一緒にお弁当食べましょうね」
　そう言って肩を叩いてくるのは、40歳を過ぎた同僚。
「ねぇ、まだ26歳のコが結婚するらしいわよ？」
　顔を覗き込んできた同僚は、45歳。
「そのコも誘わなくちゃね」
　同僚のまとめ役は、先月50歳になった。
　誰が始めたのか、社員の結婚が決まると、不安になるような話ばかり繰り返し聞かせる。その結果、みんなが結婚をやめてしまう。
　だからここの社員は、全員独身。
　社長も勿論独身で、来月58歳になるそうだ。


　終わり


　みんな独身で仲良しこよし……？