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第3章 紫陽花の夜に

　王はいつでも気が向けば、様々な花が咲き乱れる園で気ままに花を摘めば良い。気に入るだけ愛でて、飽きれば棄てる。






　それが許されるのが王という立場なのだ。好色な者には、まさしく夢のような話かもしれない。生憎とソンは好色でもなく、十一年間、ひたすら一人の少女への恋慕を抱いてきた。いかほど王のために美姫が集められようと、彼には何の意味もない場所だ。