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密室脱出 ~あなたは脱出できますか?~
第2章 Q 02「疑問の意味」
「制限時間は十二時間。それを過ぎたら、どうなるのかは……」
珍しく拓也が口ごもる。
「出ればいいんだろ? さっさと喰って、謎解きしようぜ」
数を見ながら食べ終えた奏汰が、紅茶を飲みながら手紙を見ていた。
「まず、南から日が昇るなんて、有り得ないよなあ」
他の三人も食べ終え、残したクッキーは拓也が均等に分け、袋に入っていたメモ帳のページを破って包む。
テーブルの物をワゴンに戻し、手紙をテーブルに置いた。
「取り敢えず、やってみない? 南ってどっち?」
梨沙が言い出し、袋の中の方位磁石を出した拓也が指示をする。
「この向きね?」
梨沙は窓の方を向き、両手を広げた。
「光を浴びるって、こうだよねぇ? 左手で鼓動を感じた時。だよね?」
三人は、梨沙の行動を見守っている。
「鼓動……。こうかなぁ?」
梨沙は左手を胸に当てた。
「右手が本棚を差してるじゃん。西! これ、どかすんじゃないのか?」
奏汰が大きな本棚を指差してからそれをズラそうとするが、重くて動かない。
「中の本を出そう」
拓也が言うと、三人が頷く。
高い場所は男子二人。低い位置にある物は女子二人と協力して、全ての本を出した。
「これなら、多分」
奏汰が横に回って本棚を押すと、呆気なく動いたが、その後ろの壁にあったのは、赤い大きなバツ印。
「間違いって、事なの?」
溜息をついた美織が、ソファーに腰を降ろす。
拓也と奏汰は壁を調べているが、印があるだけのただの壁。
「クッソー。何でだよ」
「仕方ない。もう一度考え直そう」
奏汰と拓也もソファーに座る。
「バツまでつけやがって。テストじゃねーっつうの!」
「奏汰、あまり熱くなるなよ。冷静にならないと」
言われた奏汰が、拓也を睨みつける。
「こんな状況で、どうやったら冷静になれんだよ! 拓也、お前もしかして。犯人の仲間なのか?」
奏汰が拓也を睨みつけた。
「どうしてそうなるんだよ。僕は、脱出するために冷静になろうって言っているだけだよ?」
「やめて……」
美織が泣きながら2人を見る。
「二人ともー。ケンカしてる場合じゃないでしょ? 協力して、謎を解かないと。ねっ」
梨沙が二人の肩を叩いた。
三章へつづく