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ひと月半の恋人
第2章 恋人

 ゆうちゃんが出発して、何日か経った。

 その日は、仕事を上がって帰る途中に、急に雨が降って来た。
 傘は持っていたけど、ささなかった。雷が鳴りそうだったから。
 私は、雷が大嫌いだ。鳴ってるとき外を歩いたり絶対したくないし、ましてや傘なんかさしたくない。落ちるかもしれないから……って言って、以前ゆうちゃんとたかちゃんに、臆病者って笑われたっけ。
 びしょ濡れで帰ってきて、バスルームに行って、服を全部脱ぐ。とりあえず髪と体を拭いてお風呂を溜めて、部屋着を着た。

 雷が、近付いて来る。
 ゆうちゃんが居たら、テレビを点けたら音が気にならないだろって、点けるんだけど。一人の時は、テレビが点いてたら雷が落ちる様な気がするから、絶対点けない。
 どきどきしてたら、インターホンが鳴った。

「はい……え、たかちゃん?!」
『おう。雷見舞いに来た』
「え?!待って、開ける!!」

 エントランスを開錠して、玄関に急ぐ。
 エレベーターがちょうど居たのか、ほとんど待たずに、チャイムが鳴った。

「こんばん……は?」
「たかちゃああああん!雷、怖いー!!」
「お前……なんて格好してんだ……」
「え?ああ、帰ってきてびしょ濡れだったから、着替えたの」

 なんか、変かな?
 裸とか下着とかじゃないよ。濡れてなかったから、ブラもしてるし。

「……とりあえず、入るぞ」
「うん?」

 玄関に入っても、たかちゃんは靴を脱がない。

「靴脱いで、上がって?……あ、靴下濡れてるとか?」
「濡れてねぇよ、お前じゃ有るまいし」
「今日は急にどうしたの?」
「急にじゃねえ……スマホ見てねぇだろ」
「え?あーっ!!」

 慌ててバッグの中のスマホを取り出す。電車でゆうちゃんにメッセした後、全然忘れてた。
 雨でどうにかなったりは、していなかった。ただ着信に気付いてなかっただけみたい。

「お前、雷苦手だろ?……ユウにも、頼まれてたんだよ……雷鳴ったら、代わりに里緒の様子見てやってくれって」
「うわーん!ありがとう……!!」

 ありがとう、ゆうちゃん!!
 ありがとう、たかちゃん!!
 私は、二人に心から感謝した。
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