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蝶々と甘い蜜。
第11章 青いバラ
三島に引っ張られて連れてこられた
以前と同じ部屋
でもそこは以前とは違う部屋になっていた。


「これ……」


以前はベッドが一つ
生活空間が全くなく
いかにもヤルだけの部屋だった。
それが、ソファがあってテレビがあって
生活空間がある部屋になっていた。


「この部屋を……どうしても手放せなかった。私には思い出がいっぱい詰まっていたから。」


「三島さん……」


「今ここに住んでいるんだ。」


「三島さんの部屋……?」


以前はホテルかこの部屋で出会っていたから
三島の部屋なんか入ったことがないというか
どこに家があるかも知らなかった。


「結衣、これを……」


跪いた三島から差し出されたのは
バラの形をしたサファイヤの指輪が――


「偶然に結衣と会うことができたら…そんな奇跡が叶ったら、この部屋でこの指輪でプロポーズをしようとずっと考えていた。」


「……私のこと好きなんですか?私は奥様の結衣さんじゃないですよ。」


「宮園結衣が好きだ。愛している。」


「私のこと…忘れたんじゃないんですか?」


「忘れるわけがない……あの時は…」


「やっぱり…」


「え?」


「私のことを想ってくれたんですよね?嘘…ついていたの気づいていました。三島さん嘘をつくとき、まばたきを2回するんです。」


「そうなのか……」


「だから……さっきの私のことが好きだっていうのも嘘じゃないってわかります……っ」


「結衣……」


「私もずっと三島さんのこと想っていました。」


完璧な三島らしく
指輪のサイズはピッタリだった。
夢見てた左手の薬指の指輪。
昔、一度だけティッシュで指輪を作ったことがある。
三島みたいに私も指輪をはめたいと願っていたから。
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