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若様の性長日記!
第1章 大学を卒業した後
「まあ深く言うと、女性のみならず、老若男女全ての性格を見抜ける人間になってほしいんだ。まずは観察力をみがき、経験を積むのがお前の仕事だ」

「つまり客の要望に応えられる人間を、ちゃんと見出せってことだろ? それなら親父の仕事を見て、学べばいいだろう?」

「いや、わたしの仕事を見ているだけではダメだ。ちゃんとお前自身の感性をみがかなければ、意味がない」

「チッ!」

あまりにハッキリとした親父の言い方に、思わず舌打ちをする。

「で? どうなんだ?」

「…童貞、じゃない。中学の時に、捨てた」

渋々答える。

「付き合った人数は?」

そこまで言うのかよ。

「……三人」

「三人か。少ないな」

余計なお世話だっ!

しかし文句を言うよりも前に、昔の苦い思い出がよみがえった。

付き合ったのは三人。

いずれも肉体関係はあった。

けれど長続きはせず、一年も経たないうちに別れた。

…三人とも、だ。

いつもオレがフられる立場だった。

しかし彼女達は涙を浮かべながら、オレにこう言った。

「あなたはアタシのことを愛していない!」

そういうつもりは、無かった。

けれど強く否定もできなかった。

来る者を拒むことなく受け入れてきたオレは、多分まだ真剣に人を愛したことがない。

原因は将来のことだった。

親父の会社を継ぐという自覚は、物心つく前からあった。

そのことで頭がいっぱいで、普通の恋人関係が上手くいかなかった。

そりゃそれなりに、彼女達のことは好きだったけど、夢中にはなれなかった。

それは性生活にも出てて…。

…あっ、落ち込んできた。


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