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不器用な夫
第8章 当主
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僕はうっとりとその美しく儚げな人を見る。
曽我とは全く似てない美しい人…。
まずもって年齢がわからない。
40は行ってないとは思うが僕や曽我と変わらないような少年の顔がチラりと見える。
不思議な人だった。
ふわふわの綿菓子のような人…。
触れると溶けて消えてしまうような清太郎さんから僕は目が離せない。
ツーッと僕の顎から首筋を清太郎さんの綺麗な指先が撫で下ろす。
ビクリと身体が反応する。
ほんの僅か…。
一瞬のフェザータッチ…。
なのに全身がまさぐられたと思うほどの勘違いを僕の身体が引き起こす。
「藤…原さん…。」
「清太郎と呼べばいい。」
もう一度、清太郎さんの指先が僕の顎を撫でる。
ゾクゾクする。
甘い電気が全身に広がる。
これがイかせ屋のテクニック…。
一流のテクニックに地味で平凡な高校生なんかひとたまりもない。
はふっと吐息を漏らす。
数センチほど顔を上げれば清太郎さんが僕に熱いキスをくれそうな気がする。
そこまで自分を見失う感覚を味わうのはさすがに初めての事だ。
全身から吹き出すフェロモンにすら自分では気付いてなかった。
だけど清太郎さんは
「昌っ!お前はこの部屋から出なさい!」
といきなり厳しい顔をすると後ろに控えてた曽我を怒鳴りつける。
ゆっくりと振り返ると曽我は目を見開き真っ赤な顔をして僕を見てる。
「すみません…。」
絞り出すような声で曽我は言うとその部屋から駆け足で出て行った。
「全く…、だから未熟者だと言うのだ。」
清太郎さんはもう穏やかな表情に戻ってる。
「あの…、曽我君に何が…?」
僕がフェロモンを放った事自体が無意識だった。
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