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不器用な夫
第3章 学校
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例え僕が担任で夫だとしても僕にベラベラとハコの悩みを話せばカウンセラーとしての信用を失う。
先生の助言はハコはまだまだ子供だから僕がしっかり導いてやれという事だ。
ハコが何かに拗ねて僕の授業をサボり保健室に居た事実だけは理解をした。
「失礼致しました。」
僕は頭を保健医に下げて保健室を出る。
何が気に入らなかった?
今日1日僕はほとんどハコの姿を見てはいない。
その僕にハコの焦りなど理解が出来ない。
夕方までは自分の教員室で期末試験の準備や来週からの授業の準備をする。
定時になれば帰れるからと早々と学校を出る。
学校から少し離れた場所にはうちの車が僕を待ち受けてる。
その車に乗るなり僕は運転手に嫌味を言う。
「帰ったら、いきなり妻が増えてるとかいうサプライズはないよな?」
公平が僕の言葉にクックッと笑う。
「重婚は犯罪ですよ。」
僕の嫌味に嫌味を返す執事を可愛くないとか思う。
「坊っちゃま、この週末は?」
「茅野君と過ごす。だから呼ぶまで近寄るな。」
「御意。」
明日から休み。
この週末はハコと話し合い夫婦としての過ごし方を決めたいと考える。
僕は不器用でマニュアルがなければ上手くハコと過ごしてやれない退屈な夫だ。
だからハコと2人きりの週末にする。
執事に邪魔をされる週末なんかお断りだ。
マンションの前で公平が運転する車を降りて僕は真っ直ぐに自分の家へと向かう。
ハコと話を…。
そればかりを考えて玄関の扉を開ける僕はたっぷり10秒以上も固まる事になる。
「おかえりなさいませ。」
黒い大理石が敷き詰められた玄関の先の廊下で不機嫌な表情を浮かべた妻がきちんと正座をして帰宅した僕を出迎える。
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