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Aさん ~私を淫らにする人~
第10章 思いもしないことが
それを聞いた石井さんの表情は途端に曇り、私に寄せていた体を立て直して「そうだよね」とため息をついたので、その様子に私は失敗したと後悔した。

途端に漂う気まずい雰囲気。

「まだちゃんと別れてもいないのに、俺っていい加減な男だよね」と自暴自棄になる石井さんに、何とかしなきゃと気が焦り、取り繕うことを探した。

目を移してみたゲームテーブルの方で、首尾よく一つのゲームが終了したようなので、「あっちでまた違うゲームをやってみませんか」と誘ってみると、石井さんも「そうだね」と言ってくれて、すぐにマスターに頼んでくれた。

それでテーブルの人達も早くおいでと手招きをしてくれて、私達はその席に合流して新しいゲームに興じた。

今度のゲームは自分で二つのダイスを振って駒を進めるものだった。
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