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それでも、好き。
第8章 一生の思い出・一生のキズ
近所の軒先につけられた風鈴が、秋風に吹かれてちりちり鳴っていた。今年の夏は部活とセックスで汗まみれだったな…振り返ることが出来るほど、何だかセンチメンタルな気持ちになった。

そんな時に限ってアイツからだ。チッと舌打ちしながら、おばさんのLINEを既読しようか迷った。

なんだかんだで帰省する度に、おばさんとやっていたのだが…気持ちがあるわけではなかった。

「なんなんだよ、いったい!」

既読前の一行に、少し震えた。

【重大報告!必ず見て!】

なんなんだ?ほんとになんの報告だよ!

LINEをすぐさま見た。

写真も送られてきた。史生は、まず写真を見た。

「なに?丸い玉?」

黒い背景に、白くて楕円の物体?なんなんだこりゃ。

おばさんの意図がわからなかった。続けて文章を読んだ。

『私達に、赤ちゃんができたわよ!生理がなくて、気づくのが遅れたから、堕ろせないから♪産むから〜♪』

「は?」

史生が理解するのにそう時間はかからなかった。あー、何となく察してた…あの時の…祭りの時の…

「くそっ!」

どうしたって言い逃れできない…でも、近所のオヤジたちとやってたんじゃないのか?

既読スルーなんて、出来なかった。速攻返事を返した。

「おばさん!近所のオヤジが父親なんじゃないのか?」

『何言ってるのよ!私はフェラ専門。セックスは史生だけよ、そんなに疑われるようでしたら、産まれたら鑑定しますけれども。』

やけに丁寧な、角張った文章が送られてきた。

「あーーー終わった…。」

何が?何が終わるんだろう。親父みたいに頭のいい高校出て、有名大学出るはずが…中学で転落かよ!誰に相談すりゃいいんだよ…。

心の中で叫んだって怒鳴ったって、運命は変わらない。

「中卒で、埼玉帰っておばさんと子供の面倒見るのか?」

でもな…結婚できないはずなんだ…血族だから。逃げられる?LINEを打ち始めた。

「おばさんとは結婚できないから。俺まだ中学生だし、母さんの妹とは二親等だから結婚出来ないはずだし。」

逃げの言葉を並べて送り付けた。

『もうっ!あんたのお母さんに相談するから!』

「マジで終わった…。」

史生は頭をテーブルにつけたまま、動けなくなった。


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