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おもちゃで痴漢
第1章 小説
『...満員電車の中、背後から手が伸びる。敏感なところに触れられ、望まない快感が込み上げてくるーー』

いずみはドキドキしながら携帯の画面を送っていく。
最近読み始めたえっちな携帯小説。特に痴漢もので抗いながらも次第に快感に溺れていく女性に、ドキドキしてしまう。

(こんなふうにちょっと無理やり攻められてみたい...)

小説を読みながら、片手は自分の股間に伸びる。
すでにトロトロに濡れていて、少し触れただけで体がぴくっと反応する。

「あっ...んん...」

『だめだと思いながらも痴漢の指使いに翻弄されていく。望まないはずなのに、体は喜ぶかのように愛液があふれてきてーー』

「ふ、あぁ...っ!そんな、触ったら...!」

小説の主人公に自分を重ね、自分の指の動きがどんどん激しくなっていく。しかし...。

「...いけない」

実はいずみは絶頂を経験したことがなかった。

彼氏とセックスもする。ある程度気持ちよくなるし、自分の指で触っても気持ちよくなる。でも、そこまでが限界だった。
彼氏が下手なのか、自分の感度が低いのかわからないが、小説の中のような突き抜ける快感を経験してみたいと思っていた。

(小説では痴漢ものとかがドキドキするけど...。実は私ってMなのかな?羞恥心を高めてみたらえっちも気持ちよくなる...?)

ふと時計をみると夕方の5時。平日だが、今日は以前休日出勤した振替で休みだった。今から世間は帰宅ラッシュが始まるだろう。

(晩御飯の買い物...ちょっと電車に乗って少し遠いとこまで行ってみようか)

さっきオナニーで脱いでしまったパンツをはこうとしてふと手を止める。

(...そのまま出てって、痴漢とかにあっちゃったら...)

じゅん、と股間が熱くなるのがわかった。大丈夫、服は着てるから誰にもわからないはず。自分がちょっとドキドキするだけ...。

パンツに伸ばした手を引っ込め、財布の入ったカバンをもって家の外に出た。
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