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僕の美しいひと
第7章 僕の美しいひと
「清良…!」
抱きしめた胸元から、清良が膨れっ面で睨む。
「遅いよ!もう少しで結婚しちゃったじゃん!」
「すまない…。でも…ありがとう…。
すごく…すごく感激している…。
…なんて言ったらいいのか…僕は…」

清良の白い手が郁未の頬に触れる。
「…馬鹿だね。こんな時は何も言わなくていいんだよ…」
「…清良…」

…もう一度、清良を抱き締めようとして、はっと我に返る。

聖書台の前に佇む原嶋を振り返る。
…きちんと詫びなくては…。
そう思い、男に歩み寄ろうとした時…。

場違いなほどにからりと陽気な…どこか野蛮な笑い声が響いてきた。
「…あ〜あ、馬鹿馬鹿しい。
まったく、こんな茶番に付き合っていられないぜ。
…せっかく、名門貴族の婿になれると思っていたのに、とんだ番狂わせだ」
列席者から非難めいた眼差しが飛び、喧騒が広がった。

それらを歯牙にも掛けずに、原嶋はゆっくりと二人に近づいてきた。

「…お嬢様はとんだがらっぱちな山猿だわ、青臭いお坊っちゃまはべそをかくわ…。
すっかり興が醒めたぜ」
にやにや笑いながら、二人の前に立つ。
そうして聞こえよがしに言い放った。
「すっかり白けたから、結婚はなしだ。
…あんたたち、あとはくっつくなり離れるなり勝手にしてくれ」
「…原嶋さん…!貴方は…」
郁未の言葉に聞こえないふりをして、原嶋は手にしたベールを驚くほどに丁寧な手つきで清良のティアラに付けた。

そして、見紛うことのない優しい愛の眼差しで、清良に微笑みかけた。
「幸せになれ、お転婆お嬢さん。
…確かにこいつには、かかあ天下がお似合いだ」
…俺はまっぴらごめんだがな…。
そう可笑しそうに付け加えると、颯爽とした足取りで身廊を踏みしめ、あっと言う間に礼拝堂を後にしたのだった。


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