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僕の美しいひと
第7章 僕の美しいひと
ざわざわと止まない喧騒の中、婉子と高遠侯爵夫妻が二人の元に駆け寄る。

「い、郁未さん!
これは一体、どういうことなの⁈
貴方ったら、清良さんの結婚式をめちゃくちゃになさって…!
…と言うか…いつから貴方たちはそういう仲だったの⁈」
婉子が郁未に詰め寄る。
「…お母様、この事情はあとでゆっくりとお話しいたします」

…ここで事細かに話す訳にはいかない。
それに問題はこの列席者にどう説明したら良いのか…。
…いや、もっと問題なのは…。

「郁未くん、申し訳ないが詳しく説明してくれないか?…私には何がなんだかさっぱり…」
困惑した様子を隠し切れない様子で、義彦が尋ねる。
何と話したものか思い倦ねていると、伊津子が静かに微笑み、夫を諭した。
「…貴方、良いではありませんか。
清良さんのお貌を見たら、どなたを愛していらっしゃるのか一目でわかりますもの…」
「…お母様…!ありがとう…!」

感激したように抱き合う親子に、聖書台に立つ神父が遠慮勝ちに声をかけた。
「…あのう…。
それで、お式はどうなさいますか?
このまま、挙げられますか…?」

…神父は思いの外、さばけた人物のようであった…。




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