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狂恋 ~狂おしい恋に身を焦がす~【BL】
第1章 10年ぶりの再会
近すぎず、遠すぎず。でもオレを逃がさないように構えている。

「で? 話というのは?」

「分かりきったことを…。何故十年前、私の前から姿を消したんですか?」

…やっぱりそのことか。

「将来を誓い合った恋人に、いきなり逃げられた私の気持ち、分かります?」

「…大体は、な。分かるさ」

利人の体から立ち上る怒りのオーラが可視できるほどは…。

「なら理由をお聞きしましょうか? 何にも言わず、そういう前触れも見せず。何故私の前から消えたんですか?」

「それは…お互いの将来の為だ。お前は会社を継がなければいけない立場だし、男の恋人なんていても、マイナスになるだけだと思ったんだ」

「何を今更っ…!」

叫び出したい衝動を抑え、利人は続けた。

「…私は言ったはずです。確かに会社は継がなければならない。でもそんなことであなたを諦めたくはないと!」

―言われたな、確かに。

『あの時』に。

利人に告白されたのは、高校二年の時。

共学で、そこそこレベルの高かった高校に通っていた。

利人は当時から注目されてて、反対にオレは普通の生徒だった。

同じクラスにもなったことがなければ、委員会も部活も違っていた。

お互い、縁なんて無いにも等しかった。

なのに利人は高校二年の夏、いきなりオレに告白してきた。

最初は何の罰ゲームなのかと、心底疑った。

けれど利人は本気でオレと恋人になりたいと言ってきた。

高校の入学式でオレを見た時から、一目惚れをしてしまったと…。

それでオレは…学校で人気があるコイツと恋人になるというのに興味が出て、つい告白を受けてしまった。

そう、暴走してしまったんだ。

その後、まずは友達付き合いからはじまった。

お互いのことを、何も知らなさ過ぎだったから。

友達としての付き合いは最高だった。

利人は優しかったし、気も利いた。それにオレを大事にしてくれた。

それがとても嬉しかった。

だから…利人に『抱きたい』と言われた時も、そんなに迷わず頷けた。
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