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狂恋 ~狂おしい恋に身を焦がす~【BL】
第1章 10年ぶりの再会
初めて身も心も結ばれた時、利人はさっきの言葉をオレに言った。

「私は将来、父の会社を継がねばなりません」

「知ってるよ。オレが邪魔になったら、すぐに捨てていいから」

「バカなこと、言わないでくださいよ」

ぐったりと横たわるオレの頭を、利人は優しく撫でた。

「私はあなたを諦めるつもりはありません。会社もあなたも、両方を手に入れてみせますよ」

「自信家だな」

「知りませんでした? 恋は人を強くするんですよ」

「それは知らなかった」

ベッドの中で二人、笑いあった。

「じゃあ見ててください。絶対に成功させてみせますから」

「ああ。楽しみにしてる」

…その時のオレは、利人を信じていた。

素直に、信じられた。

だけどオレは…。

「…何があなたを不安にさせたんですか? 誰かに言われました?」

「言われて無い。大体、オレ達の関係は周囲には秘密にしてただろ?」

公にはできなかったし、するつもりもなかった。

「ならどうしてっ…!」

痛いほど真剣な利人の眼を、見ることができない。

真実を告げれば、余計に傷付ける。

「さっき言った通り、将来に不安を感じたからだ。お互いの為だろ?」

「そんなの嘘ですね」

あっさり見抜くなよ…。

険を含んだ眼差しで、利人はオレを見る。

「それならば十年前、ハッキリと私に言ったはずでしょう? けれどあなたは何も言わずに去った。同じ大学に行けるとばかり思っていたのにっ!」

大学は利人と同じ所を受けた。

受験はした。そして合格した。

けれどもう一つ、海外の大学も受験して、合格していたことを利人には言わなかった。

そしてオレは高校を卒業した後すぐ、黙って海外へ一人で行った。

…そのことを利人が知ったのは、大学の入学式。

大学で待ち合わせをしていたのに、オレが現われないことを不思議に思って、知り合いに連絡をして、ようやくオレに裏切られたことを知った。
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