この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜜な時間はあなたと共に
第8章 あの頃の姿で…
最後に見たのは、春人がここに泊まった時以来だから、1年ぶりくらいかな…
ページをめくり、高校の頃の思い出を巡っていく。
「あはは、懐かしいなぁ…」
文化祭や修学旅行の写真がやはり皆の笑顔が輝いている。
だけど、どの写真に写る私は仏頂面で面白くなさそうにしている。
あの頃は家に居場所が無いように感じて、友達が居ながらも孤独感に苛まれていた。
「はぁ…」
人生の中で1番楽しい時期を私は逃してしまっていた。
…出来ればあの頃に戻って、青春をやり直したい…
「………」
私は不意にクローゼットから高校の制服を探し出した。
「まだ有った…」
何年か前にお母さんがクリーニングに出してくれたのだろう。
ビニールに包まれたそれを取り出し、ビニールを外して、服を脱いで袖を通した。
「ん、ちょっと太ったかな…少しだけキツくなってる…」
ボタンを付けて、スカートを履いて鏡の前に立ってみた。
……やっぱり変わってない……
「はぁ…喜んでいいのか、まだまだ子どもだとショックを受けていいのか…」
私はベッドに寝転がり、目を閉じた……