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MILK&honey
第19章 「まさか、かーさん?」

「るり。一緒に来て」
「……どこに?」

 ヒメの最後の試験が終わった、翌日。
 待ち合わせた図書室の隅で、ヒメが眉間に皺を寄せて言った。

「……会わせたい人が居るの。るりに会いたいって言ってる人」

 まさか、かーさん?

 反射的に、そう思ったけど。

「あのね……私の、彼っ……るりに、紹介したいの」

 ……彼氏さんか。
 そうだよね。

 ヒメは、かーさんの連絡先を知らない。
 家だって、分からないと思う。行った事は有るけど、帰り道迷ったって次の日言ってた。一人であそこまで行けないだろう。
 そんなこと、有る訳ない。

「ヒメの、彼氏さん?珍しいね、ヒメがそんな事言うの」

 今までの人は、紹介された事なんて無い。

「うん……今度の人は、彼氏なんだって……」
「?そうなんだ?」

 相変わらずヒメの言うことは、時々分からない。
 でも、真っ赤になってもじもじしながら嬉しそうにしてるなんて、今まで無かったかも。
 付き合って、しばらく経つみたいだし……少なくとも、今までみたいにさっさと別れて泣いたりする事は、なさそうだ。
 これからも長いお付き合いになるなら、私からも、ヒメをよろしくって言っておきたい。

「ありがとう。私も、会いたい」
「ほんと?良かった!」

 ぴょんと飛び上がって、にこにこしてるヒメ。
 ……可愛いな。幸せそう。

「良かったね、ヒメ」
「ん。ありがとう、るり」

 抱き付いて来たヒメと二人で、ぎゅーっと抱き合った。 

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