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MILK&honey
第19章 「まさか、かーさん?」

   *

 騙された。
 騙されてないけど、騙された。

「るり、ごめんっ」
「……聞いてないっ……」

 彼氏さんを紹介したいと言われて連れて来られたのは、でっかいCD屋さんだった。
 来て、分かったんだけど。
 そこでは今日、お兄ちゃん達のライブが有るらしかった。

「こんなとこ来るなんて、聞いてないよっ!」
「黙ってて、ごめん!会わせたい人、お兄さんのバンドの、関係者なの」
「えっ……」

 うそ。
 なんなの、その偶然……?!

「ほんと、ごめん。るり、お兄さんの仕事に反対だから、言ったら会って貰えないかなって」
「そんな事ないけど……でも、なんで、わざわざライブ?お休みの時のとかに会えば良いよね?」
「それが……その……彼の、命令で……」

 ……命令。
 前に拳骨されたって言ってたよね、ヒメ。
 やっぱりDV男なんじゃないの、ヒメの彼!?

「ごめん、無理。帰る。会うのはお休みの時でってお願いして。……お兄ちゃんに会ったら、嫌味言われて鼻で笑われるから」
「え?喜ぶんじゃないの、妹が来たら」
「そういう人じゃ、無いんだよ……」

 お兄ちゃんはきっと「あれ、るり?僕の仕事に反対だったんじゃなかったっけ?」みたいに言う。
 そして、フフンって、勝ち誇ったみたいに笑われる……、

「じゃあ、お兄さんに見つからない様にしよう!」
「見つからない様に、って?」
「うん。会場には入らないで、裏でこっそり待ってよう!」

 そう言うとヒメは、スマホを操作しはじめた。
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