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MILK&honey
第20章 最初っから、君だけだ

 しちゃった……
 雰囲気に流されて、してしまった……!
 俺は……俺は、なんて事をっ……!!

 絶望のあまり、床に突っ伏す。

「どうしたのっ、かーさん!?」
「るりちゃんの、ファーストキス……」

 ふわっと、あったかい空気。
 るりちゃんがわざわざソファから降りて、近くに座ってくれたらしい。

「……るりちゃんの、初めてのちゅー……ヒカリに、奪われた……」

「え?」

「ファーストキス……こんな、ヒカリの格好じゃなくて……ちゃんと、俺で、したかったのにっ……!!」

 もったいない……「初めて」は、二度と無いのに……!
 本気で歯ぎしりしていたら、きょとんとしてたるりちゃんが、ぷっと吹き出した。

「かーさん?大丈夫だよ?」
「……え?」
「今の、初めてのちゅーじゃないもん。」
「え」

 ……え。
 今、なんておっしゃいました?

「ファーストキスじゃ、なかったの。だから、大丈夫…………だって、」
「すみませーん」

 るりちゃんの言葉が、まだ途中なのに。
 ノックの音と外からの声で、大事な所で遮られた。

「はいっ?!」

 こりゃ、ここのスタッフだな……。
 開けられたら色々マズいと思ったら、扉は開かず、引き続き向こう側から声がした。

「あのー、あと三十分くらいでこの部屋空けて頂けると、助かるんですがー」
「はい、分かりましたっ!」

 タイムリミットが、発生してしまった。
 ゆっくり話を聞きたいし、場所を変えよう。

「ごめん、るりちゃん。ちょっと、待ってて……着替えてくる」


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