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MILK&honey
第20章 最初っから、君だけだ

「……ウチに客が来てるかって誰かに聞かれても、知りませんって言って下さいっ!!」

 誰かに、な。
 誰かっつーのは、俯いちゃってるこの可愛い子の厳しい兄ちゃんとか、賑やかすぎる友達とかな。

「畏まりました。もし必要が有れば、松森様のお宅には、お客様はいらしていないとお応えします」
「……へ?いいの?そんな嘘」
「私は嘘は申しません」

 ……だよね。
 だから、知りませんって言ってって頼んだのに、良いの?客は来てねーってのは、嘘になるよね?

「お客様は、いらしてませんでしょう?お住まいになってる方が久方振りにお戻りになられたのは、嬉しく思っておりますが」
「……黒田さん……」

 あまり表情を変えねーコンシェルジュが、るりちゃんににっこり笑いかけた。俺にじゃなくて、るりちゃんに。
 緊張してたるりちゃんが、それでふわっと笑顔になった。
 ……良かったね、るりちゃん。良かったけど、ほんのちょっとだけ面白くないよ、俺……心が狭い。

「……とは言え、基本的には個人情報にはお答え致しませんので。どうぞ、ご安心なさって下さい」
「ありがとう。宜しくお願いします」

 ……宜しくお願いします、これからも、ずっと。
 またいつもの顔に戻って一礼した黒田さんに礼を言って、俺達は主玄関から中に入った。
 
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