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MILK&honey
第5章 名前、呼んだら駄目?

 るりちゃんと出会ってから、一週間経った。

 相変わらず、るりちゃんとは会えない。巧には三日も置かずに会ってるけど、会ってもるりちゃんの事は聞けない。聞こうとすると「る」どころじゃなく「r 」の音をさせかけただけで、物凄い目で睨まれる。

 実家から帰って来て、駐車場から一階に上がって、開錠してエントランスに入る。

「ただいまー……っと」
「お帰りなさいませ」
「うちに荷物来てない?……あ。」

 カウンターの前の陰になる辺りのソファに、セーラー服の女の子達がひっそり座ってた。

「るりちゃんっ!?」

 コンシェルジュの黒田さんは、俺の声を聞いて眉毛をぴくりと動かした。隠してたのか。巧に言われて、隠してたんだな。

 るりちゃんは、ゆっくり振り向いて、すごくイヤそうな顔をした。
 
 るりちゃん?
 眉間に、皺が寄ってるよ?
 誰かみたいに皺が取れなくなるかもだから、それ、止めた方が良いよ……けど。

 イヤそうにしてる顔も、可愛い。そう思うのは、るりちゃんが綺麗な子だからか、自分がるりちゃんを好きすぎるせいなのか……よく分からないが、とにかく可愛い。

 ソファの背もたれのせいで気付かなかったが、近付いてよくよく見たら、今日はセーラーの上に、カーディガンを羽織ってる。
 ……感動的に可愛い。
 カーディガンを考えた昔の人、ありがとう。
 俺が、感動していたら。

「名前、呼ばないでくれますか?」

 るりちゃんは、俺のことを睨んで、ムッとした。
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