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遅すぎる初恋
第21章 クリスマスデート
夕飯のお皿などは部屋の外に出しておく。
布団は自分たちで敷くから、部屋には宿の人は誰も来ないようだ。
老夫婦と息子さん夫婦で営んでるみたいだから、お客さんがやれることはやるという形式。

ご飯を食べ終えてまったりテレビを見ていると、「お風呂入ろっか」って紫音が言う。
お風呂……部屋についてる露天風呂のことだよな。
俺が頷くとタオルと浴衣、着替えを持って、奥の露天風呂へ向かう。
部屋からはガラス張りになっていて、扉を開けると岩風呂が一つある。証明もそんなに明るくなくて、落ち着く雰囲気。

「すげえー!!何か贅沢な空間って感じだな」

恥ずかしいとか通り越して、ただただこの空間に満足。
服を脱ぎ捨て、岩風呂につかる。
冬の夜空は空気が澄んでいて、都内と違って星がよく見える。

「満足してもらえて良かった」

この宿で露天風呂付きの部屋はこの一部屋のみだけど、他の客のことも考えてか少し小声で話す。
後ろから抱きしめられる体勢で一気にドキドキが加速していく。

「こんなに綺麗な星、都会じゃ見れないね」

紫音の落ち着いた声がすごく心地良い。
緊張してドキドキはするけど、やっぱり二人でいると落ち着く。

「……紫音といるとすごい落ち着く」

無意識のうちに出ていた言葉に、オレもと返してくれた紫音は俺の顔だけを後ろに向かせ、優しいキスをする。

紫音といればいつでも幸せだけど、一番幸せなときがいつか聞かれたら、間違いなく今この瞬間かもなんてことを考えてしまった。
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