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お良の性春
第2章    春風乱舞 恋のつむじ風
 「だって、あの清三郎様にまで負けるなんて」

 ここまで言って、お節はあわてて口をつぐんだ。
 いきなり二人の脳裏に、あのおっぱいポロリンの悪夢が鮮明に蘇ったのである。
 お節はあわてて話題を変える。

 「あなたのお母様に口止めされたでしょ。それで、翌日、源一郎様に念押しに行ったの」

 お節は、源一郎の言葉をお良に伝えた。

 「お節さん分かっています。すべての責任は、わたしにあります。けっして、お良さんに迷惑を掛けるようなことはしません」

 源一郎は何度も「責任」を口にしたという。

 「お良ちゃんもう忘れましょう。源一郎さんが決して悪いようにはなさらないわ」

 そのとき、ひとつの影が、二人の背後に近づいていた。
 お良に再び運命の瞬間(とき)が訪れようとしていたのであった。
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