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お良の性春
第4章  寝屋騒然 猛攻四十八手 新妻肉欲の目覚め
 秋の日の釣瓶落とし。
 先ほどまで西の空にあった夕陽は山陰に沈み、新月の澄み切った夜空には満天の星が瞬いていた。

 スマホどころかテレビもラジオもない時代である。
 みなが寝静まった夜、新婚ほやほやの夫婦が寝屋ですることといえば決っている。
 シクシクと残る下腹部の痛みを感じながら、昨夜のことを思い出しただけでお良の体は火照る。

 (今宵も源一郎様の腕に抱かれたい・・・・)

 とはいえ、お良には戒めがある。

 「慎むべし 求むべからず」

 心の中では一時も早く源一郎の腕に抱かれたいと思いつつ、行灯の薄明かりの中に裁縫道具を並べ、針や糸の整理に余念のない様子。
 さも房事のことなど眼中にない振りをして見せる。

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