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フリマアプリの恋人
第8章 epilogue
澄佳は一糸纏わぬ姿のままベッドから立ち上がり、出窓を開けた。
明け方の仄かな潮風が海から吹き込み、澄佳の艶やかな長い髪を揺らした。

その白く儚げな…例えようもなく美しい後ろ姿に柊司はゆっくりと近づく。
背中から静かに抱きすくめる。
…優しい秋の花の薫りが柊司を押し包む。

「…夜が明けるね…」
…水平線の彼方…海と空のはざまが蜂蜜色に煌めき始め、辺りの空を恩寵のように柔らかな橙色に染める。
「…ええ、もうすぐよ…」
温かな小さな手が柊司の手を握りしめる。

…このひとと生きてゆく…。
柊司は静かな決意を新たにして、腕の中の愛おしい伴侶を抱き締める。
「…僕たちの新しい朝だ…」
穏やかに凪いだ瑠璃色の海を見つめながら、囁く。
腕の中で澄佳が身動ぎし、柊司を見上げた。

「…ええ。
私たちの新しい一日が始まるのよ…」
夜の帳を映すかのような黒い瞳に、温かな陽の光が灯り始める。

…綺麗な綺麗な瞳だ…。
この瞳にいつも一番に映し出される人間になりたいと、常に願ってきた。

…始まりは、ほんの偶然だった。
妹にせがまれ始めたフリマアプリ…。
その偶然が奇跡に繋がり、運命を手繰り寄せた。
…二人で手繰り寄せたのだ。
偶然でもなく、奇跡でもなく…。

薄墨色の夜明けの中、澄佳の端麗な輪郭が少しずつ濃く浮かび上がる。
誰よりも美しく…そして誰よりも愛おしいひとが微笑んでいる。

「…愛してる…」

同時に同じ言葉を呟き…二人は見つめ合い、笑みを漏らす。

やがて射す淡い金色の陽の光の中、口づけ合う二人の唇からもきっと、同じ言葉が生まれるのだろう…。

「…あなただけを永遠に…」


〜fin〜
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